広島のお土産として有名な宮島しゃもじ。お土産物屋さんをのぞくと、大小さまざまなしゃもじが並び、その多くに「必勝」や「合格」といった文字が書かれているのを目にするでしょう。
なぜ、ただのご飯をよそう道具が、これほどまでに縁起物として扱われるようになったのでしょうか?その深い歴史と、しゃもじに込められたご利益の由来を、詳しくご紹介します。
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始まりは厳島神社の僧侶から
宮島しゃもじの歴史は、江戸時代に遡ります。
当時、宮島厳島神社の光明院というお寺にいた**誓真(せいしん)**という僧侶が、人々の暮らしを豊かにするために何かできないかと考え、弁財天の持っている琵琶の形をヒントに、ご飯をよそうしゃもじを考案しました。
誓真は、これを島民に教え、副業として広めていったと言われています。宮島の特産品であるツゲやサクラといった木材を使って作られたしゃもじは、ご飯がくっつきにくく、日々の生活に役立つものとして、次第に評判となりました。
この背景には、仏教の「自利利他(じりりた)」の精神があったとされています。自分の利益だけでなく、他者の利益も追求するという考えのもと、島民の生活を助けるために生み出されたのです。このことから、宮島しゃもじには元々、人々の幸せを願う気持ちが込められていたと言えるでしょう。
「敵を召し取る」で必勝祈願
しゃもじが特に縁起物として定着した大きな理由は、その語呂合わせにあります。ご飯を「飯取る(めしとる)」という言葉と、「敵を召し取る(めしとる)」という言葉をかけて、戦に勝利するという意味で使われるようになったのです。
このことから、戦国時代以降、武士たちの間で縁起物として広まり、必勝祈願の品として重宝されるようになりました。現代でも、この「必勝」の意味合いは強く受け継がれており、受験の合格祈願やスポーツの試合での勝利を願って、多くの人に購入されています。
宮島しゃもじが持つご利益の例
- 必勝: 受験、就職活動、スポーツの試合など、勝負事に臨む際の縁起物として。
- 開運: 日常生活における運気を上げるお守りとして。
- 安産: ご飯をよそうことが「めしとる」に通じることから、命を授かることにも通じるとされ、安産祈願として。
- 家内安全: 家族が健康で幸せに暮らせることを願って。
世界一の「大杓子」に込められた平和への願い
宮島には、世界一の大きさを誇る「大杓子」があります。これは、宮島表参道商店街の中ほどに展示されており、長さはなんと7.7メートル、重さは2.5トンにもなります。
この大杓子は、日清・日露戦争の戦勝記念として作られたもので、「世界恒久平和」と「家内安全」の願いが込められています。この巨大なしゃもじからも、単なる道具以上の、人々の強い思いが込められていることがわかります。
近年では、広島のプロ野球球団である広島東洋カープのファンが、応援グッズとしてしゃもじを打ち鳴らす光景もよく見られます。「敵を倒す」という意味合いで、必勝を願う応援スタイルとして定着しています。このように、宮島しゃもじは、時代を超えて形を変えながら、人々の願いを乗せてきました。
宮島を訪れた際は、ぜひ、お土産として縁起のいいしゃもじを選んでみてください。そして、その裏側にある、深い歴史と人々の温かい思いに触れてみてはいかがでしょうか。


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