広島市は「水の都」と呼ばれ、市内を流れる複数の川には数多くの橋が架かっています。その中には、1945年8月6日の原爆投下という困難を乗り越え、今なお現役で人々を支え続けている「被爆橋梁(ひばくきょうりょう)」が存在します。

激しい爆風に耐え、傷つきながらも落橋を免れた橋たちは、復興への道筋を照らす希望の灯となりました。
今回は、広島の歴史を語り継ぐ5つの橋の物語と、その周辺の美しい景観を楽しむ散策ルートをご紹介します。橋の上を渡る心地よい川風を感じながら、平和の歩みに思いを馳せてみませんか。
※この記事に掲載している画像はイメージです。実際の団体、個人、店舗、商品などとは異なる場合があります。
※広島市の公式リストには含まれていない橋も紹介していますが、歴史を辿るとこの場所で爆風に耐えた歴史を持つ橋です。たとえ歳月を経てその姿を変えたとしても、今なお人々の営みを支えるその佇まいには、復興を遂げた街の力強さが宿っています。
(※広島市が認定する被爆橋梁の詳細は、以下の[公式サイト被爆橋梁リスト]よりご確認いただけます)
広島の歩みを支え続ける「被爆橋梁」とは
広島市内には、現在も被爆当時の痕跡を残す橋がいくつか存在します。これらは広島市によって「被爆建物等」として登録されており、歴史の生き証人として大切に保存・活用されています。
被爆直後、多くの人々が川へ逃れ、残った橋は救護活動や物資輸送の生命線となりました。今回スポットを当てるのは、以下の5つの橋です。
- 相生橋(あいおいばし):原爆投下の標的となったとされるT字型の橋
- 栄橋(さかえばし):広島駅近くで多くの被災者を導いた避難路
- 京橋(きょうばし):江戸時代の意匠を継承する、現存最古の被爆橋梁
- 猿猴橋(えんこうばし):豪華絢爛な装飾が復元された歴史の門
- 元安橋(もとやすばし):平和記念公園のそばで静かに佇む橋
歴史を語り継ぐ5つの橋の物語
相生橋(あいおいばし)— 歴史の転換点となった「T字」の橋
平和記念公園の北側に位置する相生橋は、全国的にも珍しいT字型の形状をしていたことから、原爆投下の照準点にされたと言われています。激しい衝撃を受けましたが、奇跡的に落橋は免れました。現在の橋は1983年に架け替えられたものですが、その独特の形状は今も受け継がれています。
詳しい歴史や当時の状況については、広島市の公式サイトでも紹介されています。広島市公式サイト相生橋の詳細はこちら
京橋(きょうばし)— 市内で最も古い歴史の証人
1927年に完成したこの橋は、市内に現存する被爆橋梁の中でも屈指の歴史を誇るものです。爆心から約1.5kmという距離により大きな構造的ダメージを免れ、戦後は貴重な避難経路となりました。親柱(おやばしら)の伝統的な装飾に当時の面影を残す、非常に貴重な遺構です。
猿猴橋(えんこうばし)— 復元された大正の輝き
広島駅近くに架かる猿猴橋は、1926年(大正15年)に完成した、現存する被爆橋梁の中で最も古い橋です。 被爆により豪華な装飾の多くを失いましたが、2016年に当時の照明灯や鷲の彫刻が忠実に復元されました。かつての西国街道の入り口として栄えた歴史を、現代に伝える華やかな橋です。
栄橋(さかえばし)— 人々を支えた命の道
広島駅からほど近い京橋川に架かる栄橋。被爆時、火災から逃れるために駅方面へ向かう人々を支えました。現在の橋は1960年に架け替えられたものですが、橋の袂には被爆当時の親柱の一部が保存されており、歴史の断片に触れることができます。
元安橋(もとやすばし)— 平和を願う川のほとり
平和記念公園の入り口に位置するこの橋も、爆心地至近で強い衝撃に耐え抜きました。現在は橋の周辺にテラス席を設けた飲食店が並び、心地よい川風を感じながら多くの市民が憩う、広島を代表する明るいエリアとなっています。
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水の都を満喫する「リバーサイド散歩」おすすめルート

歴史的な橋を巡りながら、広島の川辺の美しさを体感できる散策コースをご紹介します。
京橋川「水の都」満喫コース(約40分)
- 猿猴橋からスタート:広島駅から徒歩圏内の猿猴橋で大正ロマンを感じます。
- 京橋川沿いを北西へ:整備された遊歩道を歩き、現存最古の被爆橋梁「京橋」へ向かいます。
- リバーサイドカフェで一休み:京橋から上柳橋(かみやなぎばし)付近には、心地よいオープンカフェが並びます。
- 縮景園・広島県立美術館方面へ:豊かな緑を眺めながら、歴史と文化に触れてゴールです。
散策の合間に立ち寄りたいスポット
- TEA GARDEN PUL-ALUN(プル・アルン)
- 特徴:ホテルフレックス併設。京橋川を臨む開放的なテラス席が魅力のカフェ。
- 住所:広島県広島市中区橋本町7-14
- おすすめシーン: 散策の合間のティータイムや、川沿いの景色を楽しみたい時に。
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散策を楽しむためのヒント
- 「雁木(がんぎ)」に注目:広島の川沿いには、水面に降りるための階段状の遺構「雁木」が数多く残っています。潮の満ち引きで表情を変える、水の都ならではの風景です。
- 時間帯で異なる表情:夕暮れ時に橋がオレンジ色に染まる光景や、夜のライトアップは非常に幻想的です。
- 歩きやすい靴で:遊歩道は整備されていますが、橋の袂の階段や古い石畳を歩くこともあるため、履き慣れた靴をおすすめします。
おわりに
広島の橋を渡り、川沿いを歩くことは、この街が歩んできた復興の歴史を体感することでもあります。ただの道として通り過ぎるのではなく、時には足を止めて、橋が語りかける物語に耳を澄ませてみてはいかがでしょうか。


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