広島の街を歩いていると、ふと「なぜこんな名前なのだろう?」と不思議に思う町名に出会うことはありませんか? かつての城下町としての面影や、川と共に生きた人々の暮らし。地名には、教科書には載っていない生きた歴史が刻まれています。
今回は、知れば誰かに教えたくなる、広島市内の「珍しい町名」とその由来をご紹介します。
職人の息遣いが聞こえる「職業系」町名
江戸時代、広島城下には同じ職業の人が集まって住む「職業別町割り」が行われていました。現代でもその名残を留める町名が中心部に多く存在します。
紙屋町(かみやちょう)
伊予(愛媛県)から移り住んだ紙商人が多く住んでいたことが由来です。
鉄砲町(てっぽうちょう)
広島藩の鉄砲組(足軽)の屋敷があった場所。武家文化の香りが残る名前です。
猫屋町(ねこやちょう)
「猫」という動物ではなく、安芸郡府中から移ってきた大商人の屋号「猫屋」から名付けられたといわれています。
薬研堀(やげんぼり)
薬を砕く道具「薬研(やげん)」のようなV字型の堀があったことが由来。現在は繁華街として有名ですが、かつては堀が巡る静かな場所でした。
水の都ならではの「地形・暮らし系」町名
デルタ地帯という特性上、船や川に関連するユニークな町名も目立ちます。
加古町(かこまち)
「加古(かこ)」とは、かつて「水主」とも書かれた船乗りのこと。藩の軍船を操る専門職たちが集まって住んでいた歴史を今に伝えています。
猿猴橋町(えんこうばしちょう)
猿猴(えんこう)とは、広島に伝わる河童の一種です。猿猴川に架かる橋から名付けられ、今でも駅前大橋ルートの近くにその名を残しています。
松原町(まつばらちょう)
広島駅があるこの場所には、かつて川沿いに48本の立派な松が植えられ「いろはの松」と呼ばれる美しい松原が広がっていました。
思わず読み方を確認したくなる「難読・ユニーク」町名
広島市民でも、由来を聞いて「へぇ〜!」となる珍しい地名もあります。
胡町(えびすちょう)
商売の神様「胡子(えびす)神社」があることから。今でも「えべっさん」の愛称で親しまれています。
温品(ぬくしな)
東区にある難読地名。由来は諸説ありますが、温泉のような「ぬくもりのある品」が出た場所、あるいは地形からきた言葉といわれています。
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まとめ:地名は「街からのメッセージ」
私たちが何気なく呼んでいる町名は、何百年もの間、その土地を守ってきた人々が残した「メッセージ」のようなものです。
2026年、再開発で広島駅周辺が新しく生まれ変わっても、「松原町」や「的場町」といった名前が残る限り、そこにあった歴史が消えることはありません。次に広島の街を歩くときは、ぜひ足元の地名に注目してみてください。
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